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勉強したることども

[ドイツ語]接続法2式のダイジェスト

語形変化

不規則動詞の場合

過去基本形に語尾 -e をつける。

  • gehen 「行く」
    • 過去基本形 ging
    • 接続法2式 ginge
  • bleiben 「とどまる・~のままである」
    • 過去基本形 blieb
    • 接続法2式 bliebe
  • fangen 「捕らえる」
    • 過去基本形 fing
    • 接続法2式 finge
  • schlafen 「眠る]
    • 過去基本形 schlief
    • 接続法2式 schliefe
  • leiden 「~に苦しむ」
    • 過去基本形 litt
    • 接続法2式 litte

さらに、過去基本形の語幹に母音 a, o, u を含む場合はウムラウトさせる。

  • kommen 「来る」
    • 過去基本形 kam
    • 接続法2式 käme
  • sein 「~である」
    • 過去基本形 war
    • 接続法2式 wäre
  • geben 「与える」
    • 過去基本形 gab
    • 接続法2式 gäbe
  • essen 「食べる」
    • 過去基本形 aß
    • 接続法2式 äße
  • ziehen 「引く」
    • 過去基本形 zog
    • 接続法2式 zöge
  • tragen 「持つ」
    • 過去基本形 trug
    • 接続法2式 trüge

なお、過去基本形の語尾が -e である場合は、さらに -e を足すことはしない。

  • haben 「持っている」
    • 過去基本形 hatte
    • 接続法2式 hätte
  • denken 「思う」
    • 過去基本形 dachte
    • 接続法2式 dächte
  • wissen 「知っている」
    • 過去基本形 wusste
    • 接続法2式 wüsste
  • werden 「~になる」
    • 過去基本形 wurde
    • 接続法2式 würde

規則動詞の場合

過去基本形と同じ形。すなわち、語幹に語尾 -te (もしくは口調上の -e- を伴う -ete)をつける。

  • lernen 「学ぶ」
    • 過去基本形 = 接続法2式 lernte

人称変化

上記の要領で語形を変化させた接続法2式の基本形に、主語に応じた語尾をさらに加える。

単数:

  • ich (語尾なし)
  • du -st
  • er / es / sie (語尾なし)

複数:

  • wir -n
  • ihr -t
  • sie -n

代用形

規則動詞において接続法2式が過去基本形と混同されることを嫌ってか、1950年代から規則動詞の接続法2式に代わって「助動詞 würde + 本動詞の不定形」の形が用いられるようになった。

現在では規則動詞だけでなく不規則動詞でもこの代用形を用いるのが一般的になっており、本来の接続法2式は古めかしい印象を与える。ただし haben / sein / werden および話法の助動詞など一部の動詞では、引き続き本来の接続法2式が用いられる。

用法

接続法2式は主に非現実話法に用いられる。

実現していない願望

直説法の文を接続法2式に変化させることで、その発言内容が実現していないことを表す。

直説法の場合:

Im Sommer kann ich reisen.

夏には旅行に行ける。

接続法2式の場合:

Im Sommer könnte ich reisen.

夏なら旅行に行けるのだけど(、実際には夏ではないので旅行に行けない)。

従属接続詞 wenn 「もし~なら」としばしば併用される。

Ich könnte reisen, wenn ich mehr Zeit hätte.

もっと時間があれば旅行に行けるのだけど。

この wenn が導く副文のみを取り出すと、慨嘆するようなニュアンスになる。

Wenn ich mehr zeit hätte!

もっと時間があればなあ!

wenn を使う代わりに、副文の先頭に動詞を置くこともある。

Hätte ich mehr zeit!

もっと時間があればなあ!

非現実の事柄にたとえる

als ob (als wenn)

「あたかも~であるかのように」の意味。

Sie sieht so aus, als ob sie krank wäre.

彼女は(実際には病気でないのに)病気であるかのように見える。

als ob を使う代わりに、副文の先頭に als + 動詞を置いてもよい。

Sie sieht so aus, als wäre sie krank.

なお、als ob の導く副文が接続法1式や直説法をとってもよいとする母語話者もいるらしい。その場合、「実際にはそうでない」という確信が強ければ接続法2式、弱ければ(もしくは「実際にそうだ」と思っていれば)接続法1式や直説法を用いるのかもしれない。

zu A(状態), als dass B(接続法2式)

「B であるにはあまりにも A である」「A すぎて B でない」の意味。

Das Problem is zu schwer, als dass wir es lösen könnten.

その問題は難しすぎて我々には解けない。

接続法2式を使わずに次のようにすることもできる。

Das Problem ist zu schwer, um es lösen zu können.

婉曲な要求・提案

婉曲に何かを願い出る際に接続法2式が使える。

Ich wäre Ihnen sehr dankbar, wenn Sie darüber nachdenken könnten.

ご検討いただければ幸いです。

敬称 Sie でなく親称 du で呼び合う相手にも用いてよい。

Wenn ich bitten dürfte, könntest du mir helfen?

もしよかったら、手伝ってくれる?

婉曲に何かを提案することもできる。

Ich würde vorschlagen, dass wir mal ins Kino gehen.

ここはひとつ、映画館に行ってみるというのはどうでしょうか。(vor|schlagen 「提案する」)