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勉強したることども

エンジニアリングマネージャーになって2年ほどのふりかえりをふりかえる

この記事は自分のひとりアドベントカレンダーにくわえて「「ふりかえり手法を試そう!」会 Advent Calendar 2024」にも向けてお送りします。

adventar.org

何回も参加してくださった方、一回だけでも参加してくださった方、

参加しようと思ったけれどできなかった方、

感想でも気づきでも一言でも、何かアウトプットしていただけると幸いです~。

「参加しようと思ったけれどできなかった方」です、こんにちは…!

今年4月の「ふりかえりカンファレンス2024」にオンライン参加して以来「ふりかえり実践会」の connpass グループには入っているものの、その後のイベントには予定が合わなかったり見逃していたりでご無沙汰していました。

retrospective.connpass.com

前史:ふりかえりとの出会い

いわゆる「ふりかえり」に出会ったのは9年ほど前、当時の職場でさる開発チームに配属されたときが最初でした。そのチームに入ったのはわたしが4人目で、チームとして大きめの案件が控えていた都合その後半年弱で7人くらいの規模になっていきます。

ふりかえりのフレームワークとして KPT を採用していました。週次で会議室に集まって、ホワイトボードにみんなでふせんを貼るスタイル。ちなみにチームでは「けーぴーてぃー」と呼びならわしており、のち天野勝さんがセミナーで「ケプト」と呼んでいるのを見て「こっちが正解だったかもしかして」と驚いた記憶があります。

当時の Keep

  • 手元のタスクを粛々と進めるだけでなく、立ち止まって足元の改善について考えたり話し合ったりする習慣・文化がつくれた
  • チームメンバーを急に増やした中でも、集中的に会話する時間を設けることでチームの一体感やコミュニケーションの円滑さを維持できた

当時の Problem

  • ジュニアメンバー(というかわたし)が解決しあぐねている Problem を持ち出したとき、マネージャーに「まあ難しいよね」「仕方ないよね」と片づけられて、ほなどないせえゆうねん、と無力感にさいなまれることがしばしばあった
  • 客先常駐の受託開発チームという立場上、業務が立て込んでいるときに会議の時間を確保し続けることが難しく、ふりかえりのミーティング自体中止されてしまうことがしばしばあった

当時の Try

  • 転職する(!?)

マネージャーとしてのふりかえりの取り組み1年目:KPT

転職ののち、2年ほど前に現任チームのマネージャーとなったのを機にふりかえりの取り組みを始めました。導入にあたっては天野勝『これだけ! KPT』を読んで式次第を組み、ふりかえりってこういうものですよ、という話をメンバーにレクチャーしました。リモートワークが多いため、Google Meet でつなぎながら Miro をみんなで動かすのが基本的なスタイルです。

当時の Keep

  • 手元のタスクを粛々と進めるだけでなく、立ち止まって足元の改善について考えたり話し合ったりする習慣・文化がつくれた(コピペ)
  • リモートワーク下ではちょっとした問題をつい手元にため込んでストレスを抱えがちだったところ、それを定期的に発散する場として使えた
  • いわゆる「問題対私たち」のスタンスがつくれた
  • 短兵急に Try に飛びつく前に Problem の現状を分析する習慣がつけられた
  • 実際に改善策を実行にまでつなげられた

当時の Problem

  • Keep を出そうとするとき、ある種の謙虚さが発動して「うまくいっていることは何もないです」「まだまだ改善点だらけです」となるケースがあった
  • Problem を出そうとするとき、「そのことの何が問題なのか」を他のメンバーにうまく説明できないケースがあった
    • たとえば「ドキュメントが足りない」のような Problem。いつどんな出来事があり、その結果どんな不利益が生じたのか?その出来事が生じたのはほんとうに「ドキュメントが足りない」ことが原因だったのか?
    • ここをディスカッションしようとして、かえって「ロジハラ」のような雰囲気になってしまうことすらあった。言語化が追い付かないときにはどう処遇すればよいものか
  • とにかく時間がかかる。5人のチームで毎週90分設定していたが、Problem の深掘りでしばしば時間を使って Try の議論にまでたどり着けなかった

当時の Try

  • 自分から言い出しにくい Keep は他のメンバーから指摘しあうようにした
  • Problem の掘り下げにはゆっくり時間をかけるようにした。議論のテンポを抑えることで、言語化しづらいことにも粘り強く(雰囲気を壊さず)向き合えるようになった
  • ふりかえりに時間がかかるだけでなく、開発プロジェクトの進展にともなってイテレーション計画や設計上の議論などチームで話すべきテーマが増えたため、会議の総時間を増やさずテーマを網羅するためふりかえりのフォーマットを軽量化することにした

マネージャーとしてのふりかえりの取り組み2年目:かなり軽い KPT

今年に入ってから前段の Try にも書いた事情でチームとしての会議の時間を圧縮したいタイミングがあり、以来かなり軽量化したふりかえりのスタイルをとっています。何かの本か Web 記事で提案されていたスタイルだったと思うんですが出典が思い出せず、よって名前もありません。ツールは引き続き Miro + Google Meet です。メンバーひとりずつ順に以下のフォーマットを議論しながら埋めて、Miro にふせんを残していっています。

  1. 先週立てた Try はやってみてどうだった?
  2. Keep: 今週うまくいったこと、次週も続けたいことは?
  3. Problem: 今週うまくいかなかったことは?
  4. Try: 今週の Problem に対して次週とりたい改善策は?

Keep

  • K/P/T それぞれ1人1件程度に絞ることで、会議の時間を大幅に圧縮できた(毎週30分以内)
  • 自然と重要な Problem、うまく言語化できた Problem に話題が絞られるので、言語化のための深掘りや Try を立てる優先度の議論に時間をとられず有効な Try を立てやすくなった

Problem

  • 時間と議題を圧縮したことで、発散的な議論の場としては使いにくくなった。以前の形式もたまにはやりたいとの声あり
  • いっぽうで、小さなプロダクトが多数ある職場環境の都合、最近はメンバー各自がそれぞれ別のプロダクトを一人親方的に開発するスタイルが増えた。以前の形式を試そうにも、話題の文脈がメンバー間で共有できにくくなってしまっている

Try

さてどうしよう←いまここ

まとめ

ふりかえりに出会った当時、およびマネージャーになって2年ほどの間に運用してきた2形態のふりかえりについてふりかえりました。このところチームを取り巻く環境自体が変わってきており、ふりかえりの位置づけから再考すべき時期にきているんだな、と改めて気づきました。ふりかえりの引き出しを増やすべく、来年はもうちょっと「ふりかえり実践会」のイベントに参加できればと思います。