『英語語源ハンドブック』にこじつけて学ぶドイツ語 #9 ice
HEE こと『英語語源ハンドブック』にこじつけてドイツ語の語源その他について書くシリーズ。
前:#8 hair
第9回は ice から。
ゲルマン語に広く対応語が見られ、古英語から使われる。印欧祖語 *eis- (氷、霜)に基づく。
さてドイツ語の同義語 das Eis は同根だろうか。Duden 語源辞典で確かめる。
Das gemeingermanische Wort mittelhochdeutsch, althochdeutsch īs, niederländisch ijs, englisch ice, schwedisch is ist urverwandt mit awestisch isav- »eisig«, aēxa- »Frost« und ähnlichen Wörtern anderer indogermanischer Sprachen, ohne dass sich weitere Anknüpfungen finden.
- mit et3 urverwandt sein: et3 と由来を同じくする
- die Anknüpfung 系統関係
同根でした。そして、続けてこうある。
In der jungen Bedeutung »Speiseeis« (18. Jahrhundert) ist Eis Lehnübersetzung von französisch glace.
- das Speiseeis: アイスクリーム
- die Lehnübersetzung: 翻訳借用
ドイツ語 Eis が「アイスクリーム」の意味で使われるのは18世紀以降の比較的新しい用法で、フランス語 glace からの翻訳借用に由来するという。
たしかに、独和辞典で Eis を引くと第2義くらいに「アイスクリーム」が出てくる。英語 "ice cream" のような言われ方を見かけなくて、ドイツ語を始めた当初は「氷とアイスクリームって区別しなくていいのかな」と不思議に思ったものだった。「氷」と区別する Speiseeis という言い方はいま初めて知った。
逆に「アイスクリーム」を英語で ice と呼ぶことはないのかというと、ロングマン現代英英辞典はイギリス英語かつ古風な用法として挙げてはいた。これもフランス語からの影響だったのだろうか。
ice | ロングマン現代英英辞典でのiceの意味 | LDOCE
そういえば、英語 "iced coffee" が「氷(もしくは冷たいミルク)で冷やしたコーヒー」をいうのに対して、ドイツ語 der Eiskaffee は「コーヒーにアイスクリームをのせたもの」をいう。わたしのドイツ語の先生はドイツ留学中、暑い日にカフェへ入り喉の渇きをいやすつもりで Eiskaffee を注文して、出てきたこってり甘い飲み物に面食らった思い出があるとか。
この種のドイツコーヒーを供するお店として、群馬県みなかみ町にドイツコーヒー夢がある。2018年に tvk 『キンシオ』でみて以来ずっと行きたいと思っているもののいまだ叶っていない。この春の helwa 高崎オフ回の折に立ち寄れないかと画策したけれど、残念ながら予定が合わなかった。
そういえば高崎オフ会の朝立ち寄った喫茶店「コンパル」も『キンシオ』で知ったのだった。おじさんから直に「なんてんかなー」を聞けたときは感動したなあ。
朝の高崎散歩。10年以上いってる純喫茶コンパルに寄る。朝6時半くらいだったけど「営業中」ってかいてあったから、入ったら、8時からですといわれ、色々話していくうちに、「あれ、キンシオさん?」て気づいてくれて、水で30分くらい話した。「なんてんかなー」のマスター元気で嬉しい。 pic.twitter.com/cHlMVXfZLw
— キン・シオタニ (@kinshio) 2023年7月25日
コンパルについてはキンシオ the DVD 17号を行く ~この道をずっと行ったらどうなるの?~がくわしい。
なお、HEE が関連語として言及するアラビア語由来の sherbet 「シャーベット」や sorbet 「ソルベ」に通じる語としてアクセス独和辞典第4版には der/das Sorbet と der/das Sorbett が立項されている。いずれも e にアクセントが置かれ、語末の発音は前者が /be:/ で後者が /bet/ となる。複数形はそれぞれ die Sorbets と die Sorbette とのこと。意味はどちらも「シャーベット」。英語 sherbet と sorbet のように借用の経路や時代が違うのかもしれないが、Duden 語源辞典にはいずれも立項されておらず詳細は不明。